日本の将来像は?

最近の資源覇権、途上国の資源外交、大国の資源争奪戦を見ていると、
日本の将来へは、私は楽観論には立てない気がしております。

日本は21世紀には、「大国」(少なくとも経済的に)の地位から、
徐々に滑り落ちていく運命にあるのでしょうが、その「落ち方」には、
十分配慮しなければならないと考えます。

19世紀は英国、20世紀は米国、21世紀は中国・インドが、経済的大国として君臨するでしょう。
日本は、20世紀の後半50年は、米国に次いで2位の経済大国でした。
21世紀には、ユーロが単一経済圏(通貨・交易)に、完全に移行したわけですから、欧州大陸をひとつの経済単位とすれば、あと20年もすれば、日本は、
米国・ユーロ・中国・インド・ロシア・に次ぐ規模に、凋落ちょうらくすることは、
予想の範囲でしょう。

日本の将来像は、米国のような「軍事大国」でもありませんし、
中国のような「経済覇権」でもありません。
環境を重視し、GNPならぬ、GNH(gross national happiness)を目指すべきでしょう。

日本人の生活指標は、欧州諸国を範に組み立てることが、望ましい方向性です。
日本の将来モデルは、英国であると言われて久しいです。

英国は、19世紀の覇権者でありましたが、現在は「際立った」軍事・経済・文化的覇権はありません。
「超大国」からは「落ちました」が、しかしながら、旧植民地時代の威厳・繁栄を、21世紀の今も保っています。
英国は、実は、「隠れた権益」を非常に多く所有しております。

1)シティーの金融街

2)多くのパックスブリタニカ諸国(豪州・ニュージーランド、南アフリカ

3)世界的資源権益会社
石油、鉄鉱石、非鉄資源のBHPビリトン、リオティント、BP,ロイヤルダッチ、アングロアメリカン、等々例を挙げれば、非常に多くの権益が「英国権益」です。

ひるがえって、日本はどのような権益を有しているでしょうか?

英国は、自国では資源はありませんが、かように非常に多くの権益を有しています。
日本は、太平洋戦争後、経済「資源」覇権を奪われていたわけではありませんが、露骨なやりかたは避けてきました。

優れた労働性・勤勉さ・高度な技術で、「無資源」ながら、高度経済成長を遂げ、発展してきました。

しかしながら、眠れる巨人である中国・インドが目覚めてしまった今、
日本の優位性が、さまざまな方面で失われている現状、「無資源」の危うさが、
石油・エネルギー・レアメタル・鉄鉱石交渉などあらゆる方面で、脆弱性を露呈しております。 

1950~60年代から、総合商社が資源権益確保で奔走し、石油DD取引、穀物メジャーとの競争、鉄鉱石・非鉄鉱石・等々の実績を上げてきましたが、
ここに至り、総合商社のみの権益確保では、不十分な状態となっております。

BHPとリオティントの統合案件は、数十兆円の話です。
アルキャン買収、中国アルミの権益確保の動きなども、数兆円以上です。
アルコアとても、例外ではない状況です。

総合商社は、せいぜい、数千億円までが精一杯であると考えれば、
「国家資源会社」を保有している、英国・豪州・中国に、後塵を拝することは明白かも知れません。
英国を模範とするなら、もうすこし30年40年を見据えて、行動を起こすべきでしょう。

その前提での、環境保護、GNHの追及かも知れません。

2008年2月25日

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