商売の本質と商社マンの勘違い

商社は商売していかなければ、維持していけません。
いや、人間は何らかの商業活動をしなければ生きていけませんが(芸術家などは特殊です)、

しばしば、商売するにあたり、商社マンは「世界を股にかけたい」「自分の理想とする商売を構築したい」、との大きな夢をもって、働きます。

が、しかし、本当の商売の現実は、
「商売は決して自分の思うことが実現することはない。お客様が思うことが実現する」のであります。

何のことを言っているかというと、

例えば、ある商品を100円で1個「売りたい」と商社マンが思ったとします。
さあ、売るぞ!とどんなに意気込んでも、お客様が「買いたい」と思わなければ、絶対商売は成立しません。

つまり、売りたいと思っただけの段階では、それは商売ではなく、自分勝手な単なる思い込みでしかありません。

ですから、商売の真髄は、「商売とは自分の思うことを実現することではない。
お客様に、買いたいという気持ちを、起こしてもらうことが商売である」となります。

商社マンは、その点で、大いなる勘違いをしている人が多いです。

自分は頭がいい、この商品は最高である、企画力も最高、だから必ず売れると、
自信過剰な連中が多く、その効能を得々とお客様に述べる輩が多いですが、
それで全く反応がないとなると、「なぜ理解してくれないのだろう。あいつら(お客様)が悪いのだ」と、全く商売の本質を知ることなく、いたずらに日常を過ごしています。

そのときのお客様は、「こいつ、何をいったい言いたいのか?我々のニーズを分かっているのか」と思っているだけで、決して買いたいと思わないです。

商売、商業活動は、常に「お客様が買いたいと思わせるにはどうしたらいいか」ですが、

買いたいという心は、言い換えれば「納得した」「これが欲しい」「魅力的だ」「信頼できる」「心を動かされた」などの、様々なお客様の感情の総合体です。

カッコいい言葉で言えば、商売とは、「お客様が幸せになるようにすること」であります。

これがすなわち、商売の極意でないでしょうか。
自分が幸せになることが商売ではありません。
お客様が幸せになる「結果」として、自分が幸せになれるに過ぎないのです。

世間で言う、「お客様は神様です」「顧客第一主義」は、建前では決してありません。
顧客がここから買いたいと思う心が、商売の「最終意思、最終能動行為」ですので、「顧客第一主義」は当たり前で、それはイコール商売の最終帰結です。

2007年8月3日

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