相場と人間の感覚
別に、今更、経済学を論じたいわけではありません。
ひとつ、相場に纏わる人間模様を書いてみたいと思います。
相場は相対的なもので、決して絶対的なものではありませんが、しばしば、「高いなあ」と不満を漏らします。
でも、それが1ヶ月も続けば、人間は慣れてきます。不思議なものです。
銅相場に例えれば、つい3-4年前はトン30万円だったのが、今は100万円です。3倍です。
急騰しているときは、100万円は「耐えられない」価格と実感します。
でも、100万円の相場が1年続けば、それが当たり前になり、ちょっと85万円まで下落すると、「あ!安い。今が買い時だ。」となります。
弊社は、10年~20年でマグネその他の商売を考えていますし、
お客様である皆様方も、10年~20年で物事を考えなければならないはずです。
しかし、人間である以上、「感情」があり「感覚」があります。
ただ、その感覚は時として、判断を誤らせる原因となります。
どうしても、目先の短期的相場に気を取られ、一喜一憂します。
つまり、人間は価格に慣れない限り、拘りから逃れられないのです。
しかし、慣れてしまえば、囚われなくなります。
中国品を取り扱って、はや20年になりますが、中国品は確かに今まで「安かった」です。
国際競争力は世界で抜きん出ていました。
それで世界中の商社、お客様が中国へ集中した結果、中国が覇権を握る商品が数多く出てきました。
で、希土類を例にとれば、今、かつてない相場に世界中が困惑しています。
それは、人間の上記の「感覚」が招いた帰結に過ぎないかも知れません。
中国は10年~20年かけて今の地位を獲得しました。でも資源は限られています。
環境問題も真剣に考えなければなりません。ですから、必要最小限度の資源輸出をこれからはしていきます。
中国は「安い」という既成概念が世界の需要家が保有しているうちに、
希土類は「今の相場が当然の相場である」と人間を慣れさせ、
他の代替品に移らないようにしている、とも考えられます。
マグネも3,000$/mtとなっても、それが1年続けば、「慣れます」。
5-6年前は1,500$/mtだったことなど人間は「忘れます」。
中国が覇権を握っていれば、ロシアもイスラエルも「相場は高い方がいい」わけですから、それに追随します。
相場は、「慣れれば」どんな相場も、おかしな相場とは言えません。
ガソリンが200円/Lになっても、銅が200万円になっても、
慣れればそれが正当な「相場」です。
2007年8月8日