信用創造、信用収縮 ミニユニーク経済学

昨今の不況は、過去数十年には類をみない、信用収縮に見舞われているからですが、その前には、米国の異常なまでの信用創造があったわけです。

さて、一般的経済学に言われている、信用創造、信用収縮、マネーサプライ、
用語解説は別途皆さんで勉強いただくとして、今回の金融危機での信用収縮は、
コントロールできたのか、を論じてみたいと思います。

結論は、「コントロール不能」であったわけですが、ではどうすれば良かったのか?

信用量のコントロールは、一般的に、マネーサプライのコントロール(日銀を始めとする中央銀行の貸出量の量的規制等)が代表的手法ですが、現代のように、信用創造の主体が、あまりにも多様化している場合は、中央銀行・ー都市銀行の貸し出し規制・貸し出し緩和の方法では、
信用そのものの創造コントロールはできないでしょう。

GNPが300兆円と仮定し、GNP(付加価値の総和)が円滑に資本回転するためには、実体経済の資金供給量と、資本回転と流通過程の把握で、大まかな最適信用量が計算できます。

農業製品は、生産―流通(2-3社)ー卸―小売―消費者で、5~7回転。
工業製品は、原料―半製品―部品―完成品―卸―小売―消費者で、同じく5~7回転。
建設も、原料―半製品―部品―完成品―卸―小売―消費者で、5~7回転

流動性(liquidity)が、70%程度とすると(手元流動性の滞留・歩留まり)、
実体経済では、GNPの10倍の信用創造があれば、事足ります。

つまり、約3,000兆円。

他方、貯蓄・投資・資本の側での議論でも、「古代の資本主義」では、
貯蓄はほぼ投資に回りましたから、その信用創造は、
貯蓄―銀行―貸し出し―生産・流通主体の手元流動性、とのシンプルな図式であれば、4~5回転ですから、300兆円の経済の金融信用創造は、1,500兆円規模で足りたのです。

合計4,500兆円が適正規模、と計算できました。

これが、古典派の資本と貨幣流通量の関係です。(ものすごくシンプル化しています)

ところが、昨今の金融工学で、本来の物権を債権化して、「商品化」してしまう行為により、その数十倍・数百倍の、信用創造がなされてしまっており、貨幣(現金および預金)などでは、把握しきれない、亡霊信用創造が、経済を揺さぶることになってしまったのです。

世界の株価は、1年で、2,500兆円失われたと言われていますが、これも、
実体経済の信用創造で留まっていれば(日本で4,500兆円)、
このような事態にはならなかったわけです。

亡霊信用創造が、その10倍としたら、50,000兆円(5京円)、これは恐怖です。
信用収縮を恐れ、解決するためには、まず、「亡霊信用創造」の量的規制の経済学を、確立すべきでしょう。

2009年3月3日

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